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Mobile World Congressを振り返って

April 04, 2013
著者: 藤岡 雅宣   カテゴリー:イベント

移動通信関連の世界最大の展示会Mobile World Congress(以下、MWC)2013が、2月25日~28日の4日間スペインのバルセロナで開催されました。今年は、去年よりも広い敷地で近代的な建築様式を持つFira de Barcelona Gran Viaに場所を移し、世界200カ国以上から7万2千人以上が参加しました。国際会議と展示が同時並行的に行われ、様々な発表や新たな製品、ソリューションの紹介が行われました。以下、今年の発表や展示内容のトレンド、特徴についてまとめてみます。

今年のMWCで最も大きな話題となったのは、アップルのiOSやグーグルのAndroidに代わる可能性を秘めた新たなスマートフォンOS (Operating System)に関する発表です。その一つがMozillaのFirefox OSであり、もう一つがTizenです。どちらも最新のウェブブラウザーであるHTML5をベースとしており、スマートフォンのアプリがウェブのアプリケーションとして動作するという特徴を持っています。また、フリーウェアということと、特定の企業による縛りがなく使用条件に関する自由度が高いということで、携帯電話事業者にとっての新たなエコシステム構築の足掛かりになることが期待されています。Firefox OSについては、TelefonicaやKDDIなど17事業者がこれを利用したスマートフォン開発の意向を示しました。また、TizenについてはドコモやOrangeなどが年内にこれを利用した端末投入の意向を示しました。

2番目の大きなトレンドは、LTEの展開と高度化に関わる様々な発表やデモです。スマートフォンの普及と多様なアプリの利用による通信トラフィック増大に対応すべく、世界中でLTEの導入が進み、またLTEの高度化が進む状況を反映したものです。エリクソンも、ヘテロジニアスネットワークの一環としてトラフィックが集中するエリアをカバーするマイクロ基地局やピコ基地局の展示、LTE-Advanced関連のキャリア・アグリゲーションやコンバインドセルのデモ、TD-LTEとLTE FDDの共存ソリューションのデモなどを行いました。また、LTEの無線リソースの一部を放送型サービスに利用して、例えばスタジアムで野球の試合を観戦している人達にホームランシーンや選手のプロファイルを共有するときに利用するLTE Broadcastの展示も行いました。

3番目に注目すべき点として、移動通信事業者自身によるサービス展開の動きが挙げられます。一つは欧州や韓国の事業者を中心に展開されているRCS (Rich Communication Services)であり、いわゆるユニファイドコミュニケーションを事業者主導で提供する動きでJoynと呼ばれています。エリクソンではRCSのデモに加えて、HTML5上でユーザー間の通信を実現するWebRTCからRCSサービスなどテレコムサービスを利用可能とするゲートウェイのデモを行い注目を集めました。また、M2M(Machine to Machine)の分野では、SAPとの協業の発表を行い、様々な分野の企業顧客に対するM2Mソリューションに本格的に取り組む姿勢をアピールしました。

4番目に特筆すべきは、SDN (Software Defined Network)やネットワークのクラウド化などのネットワーク再構築の動きであり、それらを反映した展示、デモが多く見られました。エリクソンでは、SDNを拡張したService Provider SDNのデモを行いました。その特徴は、①データの通信路からその制御機能を分離して仮想化したSDN適用部分とそうでは無い部分のネットワーク全体を統合的に制御すること、②ネットワークとクラウドを統合的に管理すること、③ネットワーク機能をアプリ開発者に開放して付加価値の高いサービスの開発、提供を促進するサービス・エクスポージャを実現することです。また、ネットワークの中で分散型のクラウドを最適な形で構築するためのEricsson Cloud Systemの発表を行いました。

最後のトレンドは、移動通信事業者による料金政策を含めた新たなビジネスモデルの可能性追及の動きです。スマートフォンによるトラフィック増大に対処するためのネットワークインフラ投資が拡大する中で、単純なフラットレートのデータ通信サービスではなく、付加価値を加えた上で新たな料金モデルを構築する必要性についての発表が多く行われました。

エリクソンでは、スウェーデンで人気のあるアーティストAviciiと一緒に、本年1月から世界の音楽愛好家約4,200人からクラウドソーシングにより音楽素材を集め、Aviciiが作成した曲も発表され注目を集めました。是非、オフィシャルサイトで一度視聴してみて下さい。

 

著者

藤岡 雅宣

チーフ・テクノロジー・オフィサー

1998年に日本エリクソン(現エリクソン・ジャパン)入社。IMT2000プロダクト・マネージメント部長や事業開発本部長として新規事業の開拓、新技術分野に関わる研究開発を総括。2005年2月より現職。エリクソン入社以前は、KDDにてネットワーク技術の研究や新規サービス用システムの開発を担当。
著書として「ISDN絵とき読本」、「ワイヤレスブロードバンド教科書」、「IMS入門」(何れも共著)など。