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サービスプロバイダーSDNとエリクソンクラウドシステム

May 15, 2013
著者: 藤岡 雅宣   カテゴリー:トレンド

スマートフォンの様々なアプリケーションからの要求条件の多様化、トラフィックの増大、クラウド化の進展などにより、通信ネットワークは巨大化、複雑化し、エンド・ツー・エンドで効率良く制御することが難しくなってきています。そうした中で、通信ネットワークには個々のユーザーや企業へ十分に満足いくサービス品質を提供することが求められています。また、通信事業者の独自サービスとOTT (Over The Top) プレーヤによるサービスとの共存、競合を余儀なくされる中で、様々なサービスを効率良く開発する仕組みが求められています。

一方で近年、ネットワークが全てIP (Internet Protocol) をベースに構築されてきており、エンド・ツー・エンドで同じ制御の仕組みを適用することが可能となってきました。そこで、通信データの流れと制御信号の流れを分離し、ネットワーク全体でのデータの流れを一元化した制御システムにより効率良く制御する仕組みとして、SDN (Software Defined Network) が提案されてきました。ネットワーク全体を大きなルーターと見なし、アプリケーションや企業の利用形態に応じて柔軟にネットワークリソースの割当てやデータのルーティングを制御するというものです。

ただ、これまでSDNはクラウドにおけるデータセンター内のサーバーやストレジ(データベース)の間のネットワークを制御する仕組みという面が強く、その面での応用を中心に考えられてきました。エリクソンではこのSDNの概念を拡張し、データセンターに留まらず広く通信ネットワーク全体をエンド・ツー・エンドで制御する仕組みとして、「サービスプロバイダーSDN」を提唱しています。サービスプロバイダーSDNの仕組みには、データの流れをネットワーク全体で一元制御するだけではなく、ネットワークとクラウドのネットワーク管理の一元化もその枠組みに含めています。また、一元化したネットワーク制御の機能を外部のアプリケーションや企業から操作できるようなオープンインタフェース (Service Exposure) も含まれており、これにより言わばネットワーク機能のプログラム化が可能となります。

エリクソンでは、サービスプロバイダーSDNと併せて、新たなクラウドの枠組みであるエリクソンクラウドシステムを打ち出しています。エリクソンクラウドシステムでは、クラウドの要素であるサーバー機能やストレジがネットワーク全体に分散して配備されている分散クラウドを、独自のクラウド実行環境によりネットワーク化する仕組みを提供します(Network-Enabled Cloud)。これにより、クラウドリソースを地理的なニーズなどに応じて、効率良くネットワークに分散配備できるようになります。

サービスプロバイダーSDNとエリクソンクラウドシステムにより、ネットワークの様々なリソースを必要に応じて効率良く、またダイナミックに提供することができるようになります。これにより、通信事業者はコスト効率の良いネットワークを構築できるだけなく、変化する顧客の要求を常に満足することができるようになります。また、事業者特有のサービスやネットワーク機能をフルに活用したアプリケーションが実現できるようになります。エリクソンでは、これらの具体的な商用化ソリューションの一部について、2013年終わりまでにリリースする予定です。

 

著者

藤岡 雅宣

チーフ・テクノロジー・オフィサー

1998年に日本エリクソン(現エリクソン・ジャパン)入社。IMT2000プロダクト・マネージメント部長や事業開発本部長として新規事業の開拓、新技術分野に関わる研究開発を総括。2005年2月より現職。エリクソン入社以前は、KDDにてネットワーク技術の研究や新規サービス用システムの開発を担当。
著書として「ISDN絵とき読本」、「ワイヤレスブロードバンド教科書」、「IMS入門」(何れも共著)など。