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モバイルネットワークの将来展開に対するエリクソンのビジョン

August 08, 2013
著者: 藤岡 雅宣   カテゴリー:トレンド

モバイルネットワークでは、スマートフォンを初めとしたデータトラフィックが継続的に増大すると同時に、多様で膨大な数のM2M (Machine to Machine) デバイス(人間が直接操作しない機器)がネットワークに接続されるようになってきます。今後のネットワークは、このようなトレンドに柔軟に適応するように展開していくことが期待されます。特に、最近ネットワークパフォーマンスがユーザーの事業者ロイヤルティに大きく影響するようになっており、高いパフォーマンスを実現するネットワークを構築していくことが要求されます。

柔軟なネットワーク構築の一つの技術が、ネットワークの持つ様々な機能を仮想化、モジュール化して、これらを一元的に制御し、柔軟に効率良く各機能を利用するSDN (Software Defined Network)です。従来SDNというのはデータセンターにおけるルーティングや計算処理リソースの制御が中心の概念でしたが、エリクソンではサービスプロバイダーSDNとして、ネットワーク全体に亘る概念に拡張しています。また、ネットワーク機能の仮想化によるリソースの最適分散配備、有効利用を可能とするネットワーク化クラウドが、サービスプロバイダーSDNと融合してより柔軟で適応性の高いネットワークへと進化していくと考えています。これらと並行して、ネットワーク機器からの様々なプローブ情報(データ通信量や宛先など)をビッグデータ処理して、より良いユーザーエクスペリエンスを実現したりネットワーク設計を最適化するというのも今後の大きな流れです。

無線ネットワークに目を移すと、エリクソンでは、3G、LTE、無線LANなどのさまざまな無線アクセスを統合的に制御して、無線ネットワーク全体として最適な利用を図るOne Networkの概念を提案しています。モバイル通信に関わる標準化を推進する3GPP (3rd Generation Partnership Project) では、トラフィックの集中するエリアでのスモールセルの応用や、アンテナ技術の進化、エネルギー効率化などの観点から、次期標準仕様リリース12の検討を進めており、その成果に基づき無線ネットワークが進化していくと考えられます。

さらに、2020年以降の実用化を目指す5G(第5世代)に向けて、継続的に増加するトラフィック、更に増加するネットワーク接続デバイス数、要求条件の多様化などの課題に対する方式検討が始まっており、エリクソンが議論をリードしています。今のところ5Gのイメージとしては、既存の複数の無線/アクセスと新たな無線技術の可能性も含め様々な無線の組み合わせになる方向です。10GHz以上の高い周波数の利用や、周辺の端末の数よりも多数の基地局を設置して高いパフォーマンスを提供する基地局超高密度実装などの検討も進められる予定です。

 

タグ: M2M,SDN

著者

藤岡 雅宣

チーフ・テクノロジー・オフィサー

1998年に日本エリクソン(現エリクソン・ジャパン)入社。IMT2000プロダクト・マネージメント部長や事業開発本部長として新規事業の開拓、新技術分野に関わる研究開発を総括。2005年2月より現職。エリクソン入社以前は、KDDにてネットワーク技術の研究や新規サービス用システムの開発を担当。
著書として「ISDN絵とき読本」、「ワイヤレスブロードバンド教科書」、「IMS入門」(何れも共著)など。