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5G - 第五世代の移動通信とは?

June 19, 2014
著者: 藤岡 雅宣   カテゴリー:トレンド

1980年辺りから本格的に始まった移動通信ですが、大体10年単位で新しい世代(英語のGenerationの頭文字をとってG)が導入されてきています。1980年代の1G、1990年代の2G、2000年代の3G、そして2010年代に入って4Gという具合です。次の5G も、2020年代には導入していこうということで世界的に検討が始まっています。

5Gではどのような移動通信を目指しているのでしょうか。5Gの研究で一歩進んでいる欧州のMETIS(Mobile and wireless communications Enablers for the Twenty-twenty Information Society)プロジェクトでは、5Gで想定される移動通信の使い方を図1に示すシナリオという形でまとめています。具体的には、(1)高精細ビデオ送信のような超高速通信、(2)スタジアムのように人が密集した場所での高い品質の通信、(3)電車やバスのように多数の人やデバイスが一斉に移動する環境での通信、(4)工作機械、鉱山の掘削車両の遠隔操作や遠隔医療のような超低遅延で高信頼性を要求される通信、(5)森の中や道路沿いに設置された膨大な数のセンサー、デバイスにおける通信、などが想定されています。図1.JPG

これらのシナリオから導かれる5Gの目標として、METISは現状のネットワークと比較して、(1)1,000倍のトラフィック容量を実現、(2)10~100倍のデバイス、端末を接続、(3) 10~100倍のデータ転送速度、(4)1/5以下の遅延時間、(5)1/10以下の省電力、を実現することとしています。これらの目標は、他の5Gに関する検討でもほぼ共通するものであり、図2に示すように3Gや4Gに比べて様々な面でより優れた特性を持つシステムを目指しています。また、1Gから2G、3G、4Gへの進化で達成してきたより大容量、より高速という指標だけではなく、高信頼性や低消費電力などの、人が使う端末だけではなく様々なデバイスやモノの観点での指標が設けられています。実際、エリクソンでは、つながることでメリットのあるあらゆるモノがネットワークにつながる「ネットワーク化社会」を実現するのが5Gだと位置付けています。図2.JPG

5Gで具体的にどのような技術が必要になるかということは未だ明確とはなっていません。現状、無線方式の観点からは、5Gというのは既存の3GやLTE、更には無線LANといった無線方式とそれらの新たな要求条件に基づく進化版を基本に、必要に応じて新しい方式を組合わせて使っていくという方向で考えられています。ただ、一つ明らかなのは3.5GHzより低い移動通信周波数の利用効率を上げるだけでは増大するトラフィック需要には対応しきれず、10GHz以上まで含めた高い周波数を利用せざるを得なくなるということです。このような高い周波数を利用する場合、電波の性質上、見通し外に電波が回り込みにくい、ビルの外壁などでの減衰が大きく屋外から屋内に電波が伝わりにくい、空中での減衰も大きくまた雨や人体による減衰は更に大きいなど、様々な課題があります。これらの課題を克服してこのような高周波の電波を利用するには、様々な工夫が必要となります。

今後、世界中で5G に関する技術開発や標準化が進み、東京オリンピックのときには、日本でも5Gが実用化されていることが期待されます。エリクソンとしても、精力的に5Gの検討を主導しています。エリクソンの5Gへの取り組みについては別途報告します。

 

著者

藤岡 雅宣

チーフ・テクノロジー・オフィサー

1998年に日本エリクソン(現エリクソン・ジャパン)入社。IMT2000プロダクト・マネージメント部長や事業開発本部長として新規事業の開拓、新技術分野に関わる研究開発を総括。2005年2月より現職。エリクソン入社以前は、KDDにてネットワーク技術の研究や新規サービス用システムの開発を担当。
著書として「ISDN絵とき読本」、「ワイヤレスブロードバンド教科書」、「IMS入門」(何れも共著)など。