globe-102485resize549309crop00549309autoorientquality90stripbackground23ffffffextensionjpgid8 (1).jpg

無線通信の新技術とユビキタス無線の成長

December 19, 2018

いつでもどこでも、誰とでもどんなものでもデータを共有できるユビキタス大容量無線システムの登場は、エリクソンのCTOであるエリック・エクデン(Erik Ekudden)が掲げる今後の五つの主要技術トレンドの一つです。もはや無線アクセスは人間だけのものではありません。事実、つながることで利益をもたらすあらゆるデバイスに無線アクセスが提供されるようになるでしょう。オフィスや家庭、街の中、そして森の中まで、どこにいてもつながるようになるのです。その可能性はほぼ無限です。

では、この「いつでも使える」将来の無線アクセスの主要技術は何なのでしょうか。ユビキタス無線の成長にはどのような新しい無線通信技術が必要なのでしょうか。そしてこの変化の背景にはどのようなトレンドがあるのでしょうか。

無線システムには広範にわたる新要件が課せられています。例えば、超低遅延かつ極めて高い信頼性の実現、超長寿命のバッテリーを持つ超低コストのデバイスの提供、さらに、最も離れた場所でも接続が可能な極限のカバレッジサポート等が挙げられます。

無線アクセスシステム全体の中の無線アクセス部分においては、4G/LTEの進化と、最近最終化された新たな3GPPの5G/NR無線アクセス技術仕様により、真のユビキタス無線アクセスへとつながるこの道がすでに開かれていることは明らかです。同時に、より高いデータレートへの渇望と、より大量のトラフィック対応へのニーズは今後も変わることはないでしょう。

新たな技術トレンド

Technology Trendsの記事で、エクデンはユビキタス無線の機運の高まりを支えてきたいくつかの主要技術について触れています。それらを詳しく見ていきましょう。

周波数は、間違いなく無線通信の空気そして血となるものであり、これまで私達はより高い周波数帯へと無線通信の拡張を重ねてきました。5G/NRの導入で私達は初めてミリ波周波数帯への第一歩を踏み出しました。NRでは開始当初は最大50 GHz程度まで、その後は拡張して100 GHz程度までの運用が3GPP内で既に検討されています。

もっとも、特に学術界においては最高で数100GHz、さらにはTHz帯までを含めたより高い周波数帯の利用についても議論されています。しかしながら、このような極端に高い周波数帯の有用性やユースケースについて詳細な結論を出す前に、現在展開中のミリ波ネットワークからまもなく得られるライブシステムのデータや体験についてのより広範な情報を待つべきでしょう

ここ数年のうちに、私達はこれらのネットワークから膨大な量のデータと体験を得ることになります。より高い周波数での運用における有用性とユースケースを理解しようとする時、これらのデータは非常に価値あるものとなるでしょう。

エクデンはまた、今後無線アクセスシステムが、モバイル通信開始当初から用いられてきた「デバイスと基地局が通信する」という従来の枠組みを超えた新たなトポロジーにどう発展していくかについても強調しています、これは一部既に始まっており、3GPPのIntegrated Access Backhaul(IAB)の取り組みが例として挙げられます。

IABを用いることで、5G無線技術はモバイルデバイスとの通信時の最終ステップのためだけでなく、ネットワークノード間のバックホールリンクとしても利用できるようになります。実質的な意味合いにおいては、これによって無線で運ばれたデータがネットワークノード間をジャンプして最終目的地に到達するマルチホップの無線システムが生み出されます。

しかし、エクデンは、デバイスを単にデータの発信元、配信先と考えるのではなく、統合された無線アクセスシステムの一部分として考える必要があると指摘しています。デバイスは、直接のネットワークカバレッジ外にいる別デバイスへの、および別デバイスからのデータ転送に使用することができます。物理デバイス一式を分散型マルチアンテナ仮想デバイスに変え、データの送受信にデバイスを直接関与させることによってさらなる改善が実現できます。

これまで、このようなデバイス協調の考え方は「他人のデータ配信を手伝うことで自分のデバイスのバッテリーが消耗するなど、デバイスのユーザや所有者には受け入れられないだろう。」という反論を受けてきました。しかし、今後のIoTの世界では「同一ユーザ」に属するデバイスからなる大きなグループができ、このようなデバイスの協調が皆の利益につながるという主張が容易になると考えられます。

エクデンはさらに、今後の無線アクセスの展開と管理における高度な機械学習と人工知能の利用についても提起しています。今日、人工知能と機械学習は間違いなく大きな盛り上がりを見せています。これらの技術が無線通信にどのような影響をもたらすのか、誰もが知りたがっているのです。

エリクソンCTO エリック・エクデンの技術レビュー記事「つながる社会を強化する5つの技術トレンド」を読んでさらに学ぶ。  

無線通信の新技術に関する個人的見解

これらの技術を無線アクセスソリューションの一環として検討することで得られることは多いと考えます。人工知能や機械学習という用語には非常に多くの定義が存在しますが、実際のところ、「当該システムの詳細かつ正確なモデルを使わずシステムのアウトプットや動作を予測できること」であると私は考えています。これは、システムをトレーニングする膨大なデータが利用可能となることで実現されます。

このシナリオは無線アクセスシステムで直面する共通の問題です。実際、システムが複雑なため正確で詳細なシステムモデルを確立することが困難な場合が多く、不可能であることも多いのです。

同時に、インフラストラクチャーやデバイスから膨大なデータが取得可能になります。したがって、高度な機械学習と人工知能技術は間違いなく非常に大きな興味の対象となります。

当初は、人工知能や機械学習は、ネットワークプランニングやノードの選択といった特定の問題の対処に使用されるでしょう。しかし、より長期的にはシステムの全関連データが機械学習アルゴリズムに開示される、真にネイティブな機械学習無線アクセス技術が登場し、最終的にシステムのあらゆる部分で使用可能となることも考えられます。これはまさにエキサイティングな未来のビジョンであり、難問であるとも言えるでしょう。

 

erik-dahlman-2018-200x200-102484resize200200crop00200200autoorientquality90stripbackground23ffffffextensionjpgid7.jpgエリック・ダーマン(Erik Dahlman)

エリック・ダーマン博士は、エリクソンリサーチの無線アクセス技術部門におけるシニア・エキスパートです。これまで3G無線アクセス技術(WCDMAおよびHSPA)、4G(LTE)およびその後の継続的進化の開発と標準化に深く関わってきました。現在は特に5Gの進化に焦点を当て、5G無線アクセス技術の標準化と開発に積極的に取り組んでいます。Erik Dahlmanは「3G Evolution – HSPA and LTE for Mobile Broadband(3G Evolutionのすべて: HSPAモバイルブロードバンド技術とLTE基本技術3G)」、「4G – LTE and LTE-Advanced for mobile broadband(4G LTE/LTE-Advancedの全て)」、「4G – LTE-Advanced Pro and The Road to 5G」および最新書「5G NR – The Next Generation Wireless Access Technology」の共同執筆者です。2009年には、Erik DahlmanはHSPAの成功への貢献を認められ、スウェーデン政府のMajor Technical Awardを受賞しています。 2010年にはエリクソンチームの一員として「Best Contribution to LTE Standards(LTE標準に対する再々貢献者)」に対するLTE Awardを受賞。2014年には、そのLTEへの貢献に対し、欧州で最も権威ある発明者に対する賞であるEuropean Inventor Awardにノミネートされました。

 

 

タグ:

著者

マーケティング&コミュニケーション本部

マーケティング&コミュニケーション部

エリクソン・ジャパンにおける情報発信を担当。社外や社内のステークホルダーに対してエリクソンのメッセージを伝え、事業活動に対して理解を高めていくことで、日本にエリクソンファンを増やしていくことをミッションとしています。

ホームページやソーシャルメディアなどのオンラインコミュニケーションも運営。